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子どもが10分で眠る!という、話題の絵本は本当に効果があるの?

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    テレビや新聞で「子どもが眠くなる絵本」として紹介された影響もあってか、2015年11月に発売されたスウェーデンの作家カール=ヨハン・エリーンの絵本『おやすみ、ロジャー 魔法のぐっすり絵本』(飛鳥新社)が30万部以上のベストセラーになっています。

    子どもがなかなか寝てくれないというのは、世界共通の親の悩みですが、世界中で評判になっている、この絵本。さてその効果は本当なのでしょうか?

    スウェーデン生まれの絵本が世界中で評判に

    スウェーデン

    この絵本は2010年の発売以来スェーデンをはじめ世界中で売れているといいます。表紙に巻かれた宣伝帯の「たった10分で、寝かしつけ!読むだけでお子さんが眠る『心理学的効果が実証済み』」という魔法のような言葉に、子育て中のママの心がなびかないわけがありません。
    しかし、こういうアプローチで売り出される絵本は「かなり怪しい」、というのが正直な感想。絵本に限らず、たった10分で痩せる運動、たった10分のスキンケアで若返る化粧品、等々、簡単に問題解決ができそうな商品には、何度となく失望させられた記憶がよみがえるのは、私だけではないハズ。まあ、自分の努力目標が低すぎるという問題もあるのだけれど・・・。
    「これもまたその残念賞的な絵本では?」と、脳内の危険センサーがビンビンに反応していますが、そんな先入観を持ってはいけません。世界的に売れている本なのですから、中身を見極める必要があります。ということで早速絵本を買ってみました。

    子どもの就寝前、読む絵本の中身は意識している?

    眠る赤ちゃん

    ところで、皆さんは子どもが「夜寝る前」ということを意識して、読み聞かせの本を選んでいますか? いつもの本を選んだり、意外とノーケアだったりしませんか?もちろん、子どもが大好きな本で、それを寝る前に読むことが習慣になっているときは、全然問題ありません。そうではなく、寝て欲しいのに余計に興奮したり、ぐずったりそういう状況で何も考えず、本を選んではいないでしょうか?
    子どもに絵本を読んであげるという行為にはいろんな目的や側面があります。「気持ちを豊かにする」、「子どもの興味を引き出す」など、親としては子どもの成長を促す効果に期待を寄せますが、子どもが面白がる本と寝るための本は、ちょっと切り替えて考えたほうがよいかもしれません。
    例えば、冒険ものなどでも、終わり方が次の旅へ誘うような絵本は、きっと眠りを誘うどころか、子どもは「興奮して眠れなくなってしまう!」に違いありません。子どもの想像力が読み終えた後に。「はいおしまい!」と完結するような、安心して眠れる絵本のほうが、就寝前の読み聞かせに向いています。
    欧米では、子どもの就寝時に親が本を読み聞かせることが習慣になっています。そんな国では、子どもの寝かしつけに向いている絵本というテーマでの研究や、「ベットサイドストーリーズ」と呼ばれるブックリストがあったります。「そのブックリストが欲しい!」といいたいところですが、その国の歴史や風土の違いもかなり選書の要素に含まれるので、日本でそのまま使えるといえないところが残念なのですが…。
    実はこの『おやすみロジャー』は、そういった研究のひとつから生まれた絵本なのです。作者のカール=ヨハン・エリーンは行動科学者で、スウェーデンの大学でコミュニケーション学の講師を務め、そこで得た心理学と行動科学の知識から、「子どもがなぜ寝たくないのか」を分析し『おやすみ、ロジャー』の物語を書いたといいます。2014年に英語版が出版されると、その効果が口コミで世界中に広がり、2015年11月に日本語版が快眠セラピスト 三橋美穂(ミハシミホ)さんの監修で発売されました。
    三橋さんも、寝具メーカーの研究開発部長から独立しベッドメーカーのコンサルティングや、快眠グッズのプロデュース、ホテルや旅館の客室コーディネートなどを手がける快眠のスペシャリストとのこと。眠りのプロたちが、手掛けているのですから、そういう意味では、子どもの就寝に、この本で挑む価値はあるといえるでしょう。

    子どもに読み聞かせる、絵本の質としてはどう?

    読み聞かせ

    本の効果は結果として「寝る子は寝るし、寝ない子は寝ない」というのが実態ではないかと、アマゾンなどに寄せられた読後のレビューなどを見て思います。しかし、他に数あるベッドサイドストーリーズの中で、この絵本の評判が高いことも事実、それはどういうことかを考えながら中身についてまとめてみました。

    1)眠らせ方のテクニックが具体的に書いてある。

    実際に「あくびをしてみる」、とか「眠たそうな声」など、物語を読むための具体的な技術指導が、効果を期待させます。また、読み手にも分かりやすいです。(これは、料理本で砂糖少々とか、お好みで塩を加えるとか、書かれても困るという、料理経験の少ない読者と同じ心理ですね)

    2)スローテンポで長いお話は「子守歌」

    親の発する「さあ眠りなさい」のシンパシーが延々と続く物語。はっきりいえばダラダラと長いく、劇のシナリオのようです。お話としての面白さは感じにくいのですが、ポジティブなメッセージが溢れていて、嫌な感じはしません。これはもしかしたら「子守歌」に近い効果を発揮しているのかも…。これがこの本の狙いなのかもしれません。

    3)和み感のあるイラスト

    正直、あまり日本人ウケする絵ではないと思います。ただ、子どもの絵本の本質は「きれいに整った絵」ではないことは明らかです。デジタルできれいに描かれた絵よりも、紙の手触りも伝わってきそうなこのユルイ画風は、就寝前の子どもの心を和ませるようにも思えます。

    結果的にこれを「よい絵本か?」と尋ねられれば、物語は子どもの興味を引くには単調で、絵の構成や表現にも驚きや新鮮味をあまり感じない絵本、と辛口批評になってしまいます。でも、先にも書きましたが、眠らせ方のノウハウを伝える企画としては新しい切り口の面白い絵本といえるでしょう。
    日本だけでなく、この絵本に救いを求める親の気持ちに十分応えてくれたかどうかは、今後この本が読み継がれているかどうか…。10年後への期待が高まる絵本です。

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